ヴァイオリンを購入するにあたって、価格の幅が広いだけに選定が難しいことが多いと思います。ここでは、鑑定が必要とされる数十年以上経過したモダン/オールドといわれる作品(価格帯で数百万円〜)について、選定の際アドバイスをさせていただきます。

・楽器の価格設定はどうなっているの?

・音の良さは値段に比例するの?

・私の楽器も値段が上がるの?

このような素朴な疑問にお答えできればと思います。

 

まずは、どのようにヴァイオリンの値段が決まるのかお話します。

楽器の値段設定はどうなっているの?

1.まずは楽器の真贋

楽器の値段は、まず「どの製作家」の作品か、ということである程度決まります。
ヴァイオリンは昔から高値で取引されて来ました。楽器を売りやすくするために、ストラディヴァリをはじめ、多くの有名な製作家のコピーやラベルだけ貼り替えられたものが多数存在してきました。楽器本体とラベルが一致しているという作品に会う確率は低いと言えるでしょう。このように古い作品は楽器を製作した本人に確認をすることもできませんし、特に注意が必要です。

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それでは、どのような楽器が真作だと言えるのでしょうか。

権威のある鑑定家が発行した鑑定書の有無

鑑定書の発行に資格は必要ありませんので、書こうと思えば「私の見解では〜」と誰でも発行できるのです。そうなると、鑑定書を書いた本人がどれだけ権威のある人かが大事になってきます。

オールド楽器に強い鑑定家、モダン楽器に強い鑑定家といます。鑑定書の偽物も多く出回っていますので、楽器と鑑定書のチェックが必要になります。鑑定書/鑑定家のチェックについてはやはりプロに任せましょう。

2.次にクウォリティー

真贋の次に、作品の「クウォリティー」が大きく値段に影響します。クウォリティーとは、ここでは状態サイズ完成度とします。

状態
〜特に裏板の状態によって値段が前後することが多々あります。裏板には、表板から魂柱を伝わってくる音を支えられるように比較的硬くて強い楓材が使用されることが多いのですが、そこに割れがあるということは元々弱い材料が使用されていたり将来割れが進行し得る可能性があります。エッジや上下のブロック部分に割れが収まっていればまだ安心ですが、本体の中心部に割れがある場合は相場の半分ほど価値にまで下がってしまいます。末長く安心してお弾きいただくためにも裏板に致命的な割れのある作品はできるだけ選ばないようにしましょう。逆にミントコンディションという作品は、若干高く値付けをされることがあります。

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サイズ
〜355mmの2、3mm前後が標準で、352mm以下は小さい、358mm以上は大きいと言われます。小さすぎても大きすぎても価格は相場より若干下回ることが多いです。ただし、中にはグァルネリ・デルジェスのヴァイオリンであったりそのモデルコピーのように小ぶりのサイズが良いとされている作品もあります。

完成度
〜作品に使用している素材からスクロールの目の最後の切れ込みまで、楽器/楽弓のエキスパートが一目見ればその作品の完成度がわかります。鑑定の場合はどのクラスの作品か即座に判断できます。同じ製作家の作品の中でも時期などによって完成度が異なり値段が前後することがあります。

の良さは値段に比例するの?

実は音は楽器の値段設定にはほとんど影響しません。必ずしも値段が高いから良い音であるというわけではないというのはこのためです。音は目にも見えませんし、主観的な感覚で音が良い!といっても他の人にはそうではなかったり、というものに値段はつけられないのです。ですけれども、楽器の相場はその製作家に対する世間の評価です。評価が高いということは質の高い作品を多く世に送り出したということでもありますので、音と楽器の相場が比例していることは多いといえます。

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ヴァイオリンは弾かれるために生まれてきたものですので、楽器の購入を考えている方にとって一番と言って良いくらい大事な要素だと思います。とにかく遠くまで音が届く音量のある楽器が良い!という方もいらっしゃれば、室内で奥行きのある音色を楽しみたい!という方もいらっしゃいます。音量も音色も!というコンサートヴァイオリンをお求めになりたい方は、より古く質の高いイタリアの作品に絞られてくることが多いです。WOMでは長年の経験から、一般的に良い音は何か、ということを客観的に理解した上で、お客様一人一人のご希望にお応えし、最善のアドバイスを心がけています。

私の楽器も値段が上がるの?

楽器を選ぶ際の楽しみがまだ残されています。ここでは、モダン・オールド作品の選び方を紹介しておりますが、このクラスの楽器を楽器屋さんで探した経験のある方はきっとこのフレーズを一度はお聞きになったのではないかと思います。

「最近、楽器の値段がどんどん高くなっている」

そう、ヴァイオリンをはじめとする楽器/楽弓の価格が世界的に驚く速さで高くなっています。楽器商も情報が次々に更新され戸惑うことが多々あります。

もちろん長い目で見なくては投資にはなりませんし、今までの傾向を見て将来必ず高値で売れるとはタイムマシンに乗れるわけではありませんので言い切れません。やはり、こちらも投資的価値の判断ができるプロの知識や意見が重要になります。

各製作家の細かい話になるととても書ききれませんが、簡単に言うと投資目的では以下の三点を注意して楽器/楽弓を選定するのが良いでしょう。

・製作家の名前が断定できていること
・製作家の評価が確立されていること
・クウォリティー(状態・サイズ・完成度)の高い作品であること

せっかく高額な作品の購入を検討するのであれば、演奏も投資もあわせて楽しみたいですよね!

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